Vol.4
15 June 1996

ワニに喰われた少女

 この時まで僕は一度も行ったことがありませんでしたが、モシの町からしばらくアルーシャ方向に車で走り、ハイという町からさらに未舗装道路に入ってしばらく行った所に温泉が湧いていて、プール状になった所があるそうです。ここは特にモシに住む白人が好んで水泳に行っていたようです。

 ところが、正確には知りませんが4月末か5月始め、ここで19歳のイギリス人の少女がワニに喰われるという事件が起きました。この子はモシのインターナショナル・スクールの高校に、大学のカリキュラムの一環か何かで教育実習に来ていたそうです。

 今までこのプールでワニが出た事はなかったようですが、雨季で水量が増え、プールが川に繋がっていたのが原因だそうです。女の子を襲ったワニは一説では体長が5m以上あったようで、人間などひとたまりもありません。ワニが来ていることを知っていた近くの人たちが大声で叫んで水に入るのを止めようとしたそうですが、間に合わなかったそうです。

 この事件の後、モシ市内の外国人がよく行く食料品店などに、事件があったプールへは行かないように、またワニに注意するようにとの張り紙が出されました。タンザニアではワニやライオンに襲われて人が死ぬという事件が今でも時折あります。無論どこにでもワニやライオンがいるわけではなく、死んだ彼女は相当運が悪かったのでしょうが、常に注意は必要だということです。アフリカで生活していることの現実を思い出させる事件でした。

 今モシには他に日本の農業プロジェクトがあり、そこには白鳥さんと言う、僕同様協力隊の経験がある人がいます。彼は隊員の時ケニアの田舎にいましたが、やはり毎年のようにワニの被害があり、ある日親しくしていた家の娘さんがワニに襲われ亡くなられたそうで、大変なショックだったと話していました。

タンザナイト copyright© Since 1996 Hitonomori Co. Ltd.