Vol.17
12 January 1998

路上の死 サーバルキャット

サーバルキャット  動物好きの僕が常に心を痛めていることが一つあります。それはモシとサメの間の通勤時に見かける動物達の轢死体です。一般道とはいえ最高制限時速は100 km です。そこにうろちょろ出てきた動物達がどのような運命をたどるかは、目に見えています。

 特に事故が多いのは夜間のようです。道の両側にはまだまだブッシュが残っている所が多くあります。そこに住む小動物達の多くは夜行性です。夜道へ出てきた所に時速 100km の車が走ってくる、ライトで目が眩み、立ち往生した所をはねられる、というのがパターンなのだろうと思います。

 夜行性の動物達、というのは普段ほとんど目に触れる事がありません。従ってその中にはかなり珍しいものも含まれています。何度か死体を見かけたシマハイエナは、テレビでおなじみのブチハイエナとは違い、もっと美しい毛並みをしており、サバンナと言うよりは木のはえているところに潜んでいます。姿を見掛けることはほとんどありません。僕は生きているものを見たことは一度もないし、タンザニア在住17年の佐藤さんも、やはり車にはねられたものしか見たことが無いそうです。

 他によく見かけるのはジャコウネコの類です。ジャコウネコと言っても馴染みが無いでしょうが、細い顔をした、ネコとイタチの間くらいの動物です。これも美しい毛並みとかわいらしいしっぽをしていますが、それだけにしっぽ以外は何か分からないような、変わり果てた姿を見掛けるのはつらいものがあります。

 先日はまた別の動物が死んでいるのに出会いました。サーバル・キャットと言われるネコの類です。体の大きさは飼いネコよりはずっと大きく、小型犬ほどはあるでしょうか。ヒョウとは違いますが、黒い文様が体にある、やはり非常に美しい動物です。実際はそれほど珍しい動物ではないのですが、僕は残念ながら生きているものをこの時はまだ見たことがありませんでした。

 この写真に写っているものは、後ろ足の大腿部に大怪我を負って、多分出血多量で死んでいました。僕らが通りかかったのが朝の8時頃です。車を停め、触ってみるとまだ体温が残っていましたから、きっと明け方頃にはねられたものでしょう。

 佐藤さんの話だと、どうやらタンザニア人のドライバーには、面白がって動物をよけずにわざとはねる人がいるそうです。無論、先進国に生まれた僕らと動物愛護の意識に違いがあることは致し方の無いことですが、それにしてもわざわざ殺すことはなかろうに、と思うのは僕だけでは無いと思います。

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