Vol.11
10 April 1997

水がない!続編

 前回水が無い話を書いたところ、多くの人から「大変ですね」とか「その後どうなりましたか?」という便りを頂きました。ご心配をおかけしましたが、何とか回復しました。

 現在は元からあった水道管(例の焼けたやつですね)に加え、もう一本別の方向にある大きな幹線から新たに管を引き込んで、2本体制になっています。どちらかから来る水が細っても、両方足せば十分得られるだろうという寸法です。

 さてこの新たな水道管を埋設するのがなかなか凄いものでした。例によって大家さんのお兄さんが手配してくれたのですが。まず太い水道管の走っている幹線道路からうちまでは私道で入るようになっています。てっきりこの私道の下に新しい管を埋めるのかと思っていたら違うのです。

 「この私道は幹線道路からほぼ水平に来ているので、水がうまく流れて来ない可能性がある。だから取り入れ口はもう少し上につけて、管を斜めに走らせて家まで引っ張ってくるんだ。」

 「???」

 斜めに引っ張ってくると言っても、そこには他人様の家が並んでいます。一体どうするのかと思っていたら、人夫を連れてきて、いきなり他人の庭先を掘り始めたのです!

 これで文句が出ると思ったら、だれも文句を言わないばかりか、代償すら求めて来ないのです。無論無断に掘っている訳ではなく、了承を得ているはずですが、いやいや驚きました。ずっと前に「アフリカでは自分にとって価値の無い物を他人が使うことに鷹揚である」という仮説を展開しましたが、どうやらやはり当たっていたようです。庭と言っても地面の中は使いませんから、他人が使っても構わないと思うのでしょう。

 こうして考えるとなぜ水道管の上でごみを焚かれたかも納得がいきます。要は焼かれた管も他人様の庭を通っていたのでしょう。土地の持ち主は、そんな所に水道管があるのを知らなかったのか、あるいは忘れてしまっていたかしたのでしょう。

 プロジェクトの佐藤さん(安江さん以外が出てくるのは久しぶり!?)は、自分の家の玄関先を花壇を整備するために掘っていて、やはり隣りの家の水道管を掘り当てて、穴を開けてしまったそうです。あとは何食わぬ顔をしてテープを巻いてごまかした そうですが、「水不足の乾季でもこの壊した水道管のあたりの植物は元気が良い」そうです。

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