Vol.16
2 December 1997

フンディ達

 スワヒリ語でフンディというのは、職人や配管工などの様に○○工と呼ばれる人達の総称です。英語スワヒリ語の辞書では craftsman と訳されています。

 さて僕の家で水道管が壊れた話を以前書きましたが、壊れたのはもちろん水道管だけではありません。つい先日は地中に埋設してある電線がショートして焼き切れ、その前にはトイレの水が止まらなくなり、その前には湯沸かし器で湯が沸かなくなり、さらにその前には門扉が門柱から落ちたりと、結構戦いの日々を送っています。

 こうしたトラブルの時に来てくれるのがフンディ達です。水まわりのトラブルには配管工、電気関係なら電気工、門扉が落っこちた時は(実は2度ある)溶接工、などなど、いろいろな人が近所にいます。トラブルが起こるたびに使用人のジョセフか、気にかけてくれている大家さんの兄貴がこうした人達を呼んで来てくれます。

電気溶接機 溶接工などはなかなか凄いものがあります。僕は始めて見ましたが、ほとんど立方体に近い、大きな箱状の装置を自転車の後ろの荷台に積んでやってきました。この箱が電気溶接機の本体です。

 溶接フンディは、やおら先を裸に剥いた電線を取り出し、それを家のコンセントに突っ込みます。反対側を箱に取り付けると準備完了。いっちょ前に安全のためのゴーグルを付け、バシバシ火花を飛ばして門扉を蝶番に溶接してしまいました。

 地中に埋めてある電線が切れる、なんてことは日本ではぴんと来ないでしょうが、なにしろヒューズが切れると、そのあたりの電線を剥いて付けてお仕舞にしてしまう国です。トラブルが無い方がおかしい、と言えます。この時来てくれたフンディは、なんとジョセフのお兄さんでした。奇麗な英語を話す、フンディとは言ってもちょっと格が上、なのかもしれません。

 こうしたフンディ達、例えば溶接をバシバシしてもらった後で「いくら?」と聞くと、もじもじしながら「2000シル(約400円)貰えますか?」と言います。わざわざ来てもらって400円ではこちらが申し訳なくなってしまいますが、これが外人相手ではない本当の「村レート」なのでしょう。

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