Vol.15
12 October 1997

タンザニア大停電

 かつてニューヨークで有名な大停電がありました。停電は日常茶飯事、電気が無い所に住む人も多いタンザニアでは、それくらいのことでは話題にもなりません。「えっ?じゃあ何を話題にするの?」だから大停電なんです。ニューヨークなんていう局所的な話ではなく、また限られた時間のことでもありません。

 10月半ば、タンザニア国中電気は夜間、数時間送られてくるだけです。昼間は全くと言って良いほど来ません。仕事では発電機を回していますし、自宅でもさすがに二日間電気が全く来なかった時など発電機を使いました。冷蔵庫には食料品が入っているし、水も一度ポンプで揚げないと使えませんから。

 一体どうしてしまったのかと言うと、去年から続く干ばつのため、タンザニア南西部にある水力発電用のダム湖が涸れてしまったのです。以前洪水の話などを書いたので、タンザニアでは結構雨が降っている、と思われた人もいるでしょうが、なんと大雨になったのはモシからサメにかけての、極々一部だけだったそうです。他の地域ではほとんど雨が降っていないようなので、ダムでも自転車操業どころの騒ぎではありません。日々刻々と危機的な状況が近づくばかりです。近い内に夜も電気が来なくなる、完全な停電が始まるだろうといわれています。

 ホンジュラスやネパールで電気の無い暮らしは経験したことがあり、コンピュータが使えないのは困りますが、生活自体は何とかなります。でも問題は、電気が来ないと水道局のポンプが動かないことです。つまり水も来なくなってしまいます。もしそうなったらお手上げで、水を買うしか手はありません。

 実はタイミング良く大家さんが屋根に雨樋を付けてくれ、樋からの水がタンクに集まるようになったのです。ところができてから初めての雨で様子を見た所、繋ぎ目のあちこちから漏水しており、タンクまで流れていくのはちょっぴりしかありません。まあこんなことだろうと思いつつ、漏れている下にバケツを置くと、たまることたまること。ほんのちょっとの雨でもトイレ数回分は溜まってしまいました。こうして見ると日本でもいかに水を無駄にしていることか、良く分かりました。

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