Vol.22
25 December 1999

ストリートチルドレン

 タンザニアは多党制を導入した、と言ってもまだ土地は政府が所有しているなど、建前上は社会主義の国です。そしてまだお隣のケニアに比べても、昔ながらの社会システムが色濃く残っている面があります。タンザナイトでも何度も書いていますが、互助的なシステムや、持つ者は持たざる者を助けなくてはいけない、といった不文律などです。

 しかしここでも貨幣経済の浸透、都市への人口の集中化などは起きています。その結果起きるのが貧富の差の拡大、そして生活の破綻です。昔であれば親戚などが助けてくれたものが今ではそうした社会システムの保護から外れてしまっているケースも出てきています。そのために増えてきているのがストリートチルドレンです。

 一体モシに何人のストリートチルドレンがいるかはわかりませんが、僕がよく行く郵便局の周辺では10人くらいは見かけるでしょうか。キリスト教系のNGOが運営するストリートチルドレン向けの施設も3ヶ所ほどあるようですから、かなりの数の子どもたちがいるはずです。

 モシの町では、あちこちの商店でストリートチルドレン向けの食券を売っています。無論子供たちが買うのではなく、子供たちに食べ物をあげたい人が買って、食券を子供たちに渡します。そうすると町中の決められた食堂で温かい食事がとれる、という仕組みです。直接現金をあげると、煙草を買ったり、博打をやったりするのでこうした工夫がされているそうです。でも食券を貰ってもあまりうれしそうな顔をしない子供たちも中にはいますが。

 あと不思議だったのが、郵便局などの周りにいる子供たちは男の子ばかりだ、ということです。女のこのストリートチルドレンはいないのか?とタンザニア人に聞いてみました。すると一般的に女の子はお母さんにくっついていることが多く、男の子ほど簡単に家を出たり放り出されたりすることがないそうです。

 でも女の子のストリートチルドレンもいることはいるのだそうですが、男の子がいるところだと、稼ぎを彼らに巻き上げられてしまうので、男の子のたむろする人通りの多い所にはあまり来ないのだそうです。ここにも厳しい世界がありました。

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