Vol.21
5 January 1999

女達の世界

 アフリカに来た人たちは良くアフリカ女性たちのたくましさに圧倒されます。そして、往々にして体のボリュームも凄いアフリカのママたちを、アフリカの大地に喩えたりもします。「女たちの大地」なんていう、それっぽいタイトルの本もありますが、これはザンビアの話、著者の荒木美奈子さんは知り合いで、サイン入りで本を貰ってしまいました。

 まあそれはともかく、僕の近所には不思議なことがあります。近くにある家の多くで、子供を除けば男性を見かけないのです。ちょっと離れたところにある数軒の大きな家には確かに男性がいますが、それ以外、ちょっと小ぶりの家々には、女性たちの姿しか見えません。

 「誰がどうやって働いて生活してるんだろう?」というのがまた疑問で、一軒の家は庭で採れたトマトやホウレンソウを売っていますが、僕以外に買っている人を見たこともないし、とてもそれだけで生活しているとは思えません。

 この家、まだ建築途中から人が住み始め、だんだん窓枠が入ったり、壁が塗られたりと良くなってきています。全く不思議です。僕のすぐ隣の家も、気のいいおばちゃんと娘らしき人、そして多分その子供がいるだけで、男親の姿が見えません。そうそう、うちのお手伝いさん、フェリスタも、息子さんは紹介されましたが、僕が払う給料で家を建てており、旦那さんの話は一度も聞いたことがありません。

 タンザニアでは私生児も多く、また正式に結婚しても、男性がふらりと家を出てしまったり、出稼ぎに行ったきりになってしまったりということも多いようですが、おばちゃんたちに詮索するわけにも行きません。

 また、こうしたおばちゃんや娘さん、孫たちの世界には、男性の僕では入りこみにくいものがあります。みんな僕には挨拶してくれますし、その意味では近所付き合いもあると言えますが、どうも一線を超えることはできません。超えるのはやばいかもしれませんが。

 これに対して我が家に良くある?日本からの女性の訪問客たちは、なんともすんなり溶け込んで行ってしまいます。こうした女性たちが、僕のご近所に関する良い情報源です。

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