Vol. 2
25 March 1996

人を雇う

フェリスタおばさん 海外生活は長いですが、初めて自分で使用人を雇いました。協力隊員でも雇っている人がいますから、これはもう贅沢云々というほどの話ではないかもしれませんが、雇ったのはメイドさんと、庭師兼夜警の二人です。

 僕の住む家は、他の日本人の家よりは小さいですが、それでも日本で住んでいたマンションとは違い、掃除するには大変です。まして小さなマンションですら滅多に掃除しなかった僕にはとても無理です(料理は好きでも掃除は嫌い)。平日は朝6時に出かけるので、自分で洗濯をする暇もありません。海外でも東京でも、洗濯機無しの手洗いで済ませて来た僕ですが、時間が無くてはどうしようもありません。

 それで掃除や洗濯をやってくれるメイドさんを大家さんに紹介してもらいました。あなたは独身だからと連れて来たのは、既に成人した息子がいるフェリスタおばさんでした。英語はほとんどできません。お互いに片言のスワヒリ語と英語でコミュニケーションしています。

 以前西欧人に雇われていたそうで、パンやケーキも焼けるといいます。さっそく型を手に入れて来てイーストなども探して来ましたが、かんじんの新品のオーブンがガス管の径が合わなかったりして使えません。アメリカ仕様のでっかいレンジ付きコンロですが、何とかするまではパンはお預けです。

 庭師兼夜警(スワヒリ語ではそれぞれシャンバ及びアスカリと呼びます)のジョセフは、この家が建った6年前から働いています。庭の掃除をしたり門の開け閉めをしたりする他に、家の簡単な修理をしたり、また野菜を作ったりもします(今ネギとニラを作らせています)。ジョセフは簡単な英語を話すので、大体意思の疎通はできます。彼の勤務は1年365日、昼間僕がいない間に仮眠したり近所にある自分の家へ食事に帰ったりしますが、ほぼ24時間、昔で言う下男みたいなものでしょうか。

 二人に払っている給料は、月35,000シリング。多くの家では20,000シリングちょっとですから、相場と比べるとかなり高めです。彼らの要求を値切らずにそのまま払っています。

 いい人間は厚遇しておきたいのですが、他にも理由があります。僕の家は小さく留守がちな大人の一人暮らしですから、仕事の量は普通の家よりはるかに少ないはずです。相場を高くするようなことをするなとの意見もあります。でも35,000シリングと言っても7千円弱です。もとが安すぎるのです。人を雇うような家庭に、この程度の金額が払えないはずはありません。ちょっと相場を高くしてやってもいいと思っています。

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