Vol.13
22 July 1997

薬草の話

これがMhoho 一時帰国するちょっと前の話です。僕は風邪をこじらせ、職場で咳き込んでいました。すると外で建物の周りの草むしりをしていた作業員の女の子が、青臭い雑草を持ってきました。

 どこにでもあるその草は、パレ語でMhohoと言い(別の人はMrumbavasiと呼びました)、咳と鼻水を止める薬だそうです。さっそく好意に感謝して言われるままに数本を丸めて口にほうり込み、噛んでみました。

 苦く、確かに薬臭い味がしました。何かの薬用成分が含まれているのは間違いありません。この草はお腹にも良いそうです。チャガ族の人は知りませんでしたが、ジグア族は知っていて、Mvumbasと呼ぶのだそうです。

Nyenye オフィスで薬草談義に花を咲かせていると、彼女はまた別の草を持ってきてくれました。今度のはパレ語でNyenyeといい(右の写真)、潰して嗅ぐ薬です。嗅いでみると、ペパーミントに似たさわやかな香りがします。

 アフリカには多くの薬用植物があり、多くの人たちは、まだそうした身近に手に入る天然の薬を用いています。

 特にマサイ族の植物に関する知識は驚くべきものだそうで、マーケットなどでもよくマサイ族の男性が、薬用植物をならべて売っています。でも一説によるとマサイ族がマーケットで売っているもののほとんどは、精力剤だそうですが。

 面白いのは部族による知識の違いを、一緒に仕事をしていてもお互いに知らない、という事実です。特にチャガ族とパレ族は関係が深いのですが、かなりの違いがあり、彼ら自身驚いていました。薬草の話を通してタンザニア人スタッフ達もお互いこんなに知らなかったんだ、ということを認識したようです。

 プロジェクトで苗木を作ったり、植えたりしている木の中にも薬用のものがあります。特に有名なのはインド栴檀で、解熱剤や虫下しとして用いられます。その名のとおりインド周辺が原産なのでしょうが、アフリカでも広く薬としての有効性が知られており、かなり厳しい環境でも育つ事もあって、住民に最も多く植えられている木の一つです。

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