Vol.11
10 April 1997

今度は大雨!

サバンナに雨が来る いつも仕事をしているサメが乾いていて困っている話をしていましたが、今回の雨季はちょっと違うようで、既に130mmほども降っています。去年1年間が約150mmですから、どのくらい多いか想像がつくと思います。

 ところが問題は降りかたで、130mmのほとんどがたった二日間で降っているのです。そしてこれを書いている4月9日の早朝、恐ろしいことが起りました。

 車で通勤していますが、サメの周辺でやたらに道路上を水が流れた跡があったのです。場所によっては道路上に石が流れ出している所もあり「昨夜かなり降ったんだねえ」なんて話しながらプロジェクトに着きました。するとなんと、タンザニア人スタッフ総出で掃除をしています。何事かと思ったら、早朝に豪雨があり、プロジェクトには背後の斜面の上方からの泥流が流れ込んだらしく、事務所のすべての建物に床上浸水をしていたのです!水は既に引いていましたが、すべては泥だらけ、事務所の前には泥が溜まり、足が脛まで埋まるくらいです。

 いつも雨が降らない、と嘆いているサメで洪水が起るとは夢想だにせず、無論何の対策も取られていませんでした。雨量を調べてみると、僅か1時間の間に50mm以上と言う、集中豪雨があったようです。傾斜の緩いサバンナで、一時に雨が降ったため、水の逃げ場がなくて溜まってしまったようです。

 これが笑い話で済まないのは、僕が仕事に使っているノート型のコンピュータが完全に水没してしまったからです。精密な電子機器であるコンピュータが水没したらどうなるか皆さん想像がつくと思います。傾けてみるとディスクドライブから泥水が流れ出すし、キーボードを持ち上げてみると、心臓部であるCPUのあたりも泥だらけです。液晶画面も水浸しですからもう直りません。

 このコンピュータには、僕自身のファイルの他に、僕がプロジェクトの技術的な文章の取りまとめと校正を行っている関係で、重要な文章が多く入っていました。でも最近バックアップを取っていませんでした。こりゃもうトホホで泣くしかない、と思いました。

 ところがよくコンピュータの中を見てみると、ハードディスクの周りはそれほど泥水をかぶっていません。ネジを外し、ハードディスクを取り出してみると、ディスクの中には水が浸入していないようです。でも付属している電子基盤は一部に泥をかぶっています。だめもとだと思い、基盤を外し、水洗い!し、ティッシュで丁寧にふいて乾かしました。

 僕の個人で使っているコンピュータは、機種が違いますが同じメーカーのもので、容量は違うけど、沈没したものと同じ外寸のハードディスクを使っていると、以前何かで読んだことがありました。

 それで家へ帰った後、自分のコンピュータを分解し、調べてみました。確かに同じ外寸のハードディスクが使ってあります。思い切って自分のハードディスクを外し、乾かした業務用の方を付けてみました。そして電源を入れると、驚いたことに動いたのです。水洗いしたコンピュータのハードディスクが動いたなんて聞いたことがありません。まあそれ以前にハードディスクを水洗いした話も聞いたことはありませんが。

 必要なファイルだけ取り出し、またハードディスクを元のものに付け替えましたが、奇跡としか言いようがありません。

 実は自分でコンピュータを分解したり、ハードディスクを付け替えたりすると、メーカーの保証外になります。それ以前にノート型パソコンの分解をすることも危険なので、良い子の皆さんは真似をしないでください。

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